ビジネスの場で「KPI」と聞いてどういう意味だろう?と思った経験はありますか?意味を分からずに使用すると問題になる場合があったり、意図が伝わらなかったりする場合があるので注意が必要です。適切な意味で「KPI」という言葉を使用してビジネスシーンで活用していきましょう。
KPIの意味とは?
業務目標を実現、達成するには具体的なプロセスや進捗状況を把握して改善することが必要です。ビジネス上で業務のプロセスごとに設定されるにKPIついて説明します。
KPIとは?
KPIとは、「KeyPerformance Indictor」の略称となっており、日本語では「重要業績評価指標」とも言われます。経営には様々な種類の業績評価指標が使われていますが、「KPI」はそのなかでも「KEY(重要な)」となる指標で、目標達成に向かってプロセスが適切に実行されているかどうかを計測する役割があります。
KPIは通常一定の期間を定めて計測します。通常は月次、スピード感のある企業だと週次・日次で計測される場合もあります。期間ごとにパフォーマンスが評価されて、成果が悪い場合だと対策や改善策の作成や実行を求められます。
KPIの使用例
KPIは主にマーケティングや営業でもよく使われます。例えば、自社運営サイトに対する新規問い合わせ件数の目標値を月間35件と設定したと仮定します。その場合、サイトへのアクセスが減少すると目標達成が見込めなくなってしまうため、検索エンジンからのセッション数の増加をKPIとして設定します。Googleアナリティクスを活用して達成度を随時チェックする必要があります。
ほかにも営業職だと、アポイント数や成約率、解約件数などを数値化してチェックしたり、製造業では機械の稼働率や不良品の発生率、人事部では離職率や採用率、管理部ではクレーム件数などをKPIにしている場合があります。
KPIのメリット
KPIを設定するメリットは「共通の指標が用いられることでメンバーの意思統一が測りやすくなる」という事が挙げられます。評価基準が客観的になっているのでチームやメンバーに対する評価を公平に行うことができるということも挙げられます。
KPIを適切に導入して活用することで、メンバーの業務へのモチベーション向上や結果としてチーム全体・企業全体のパフォーマンスをあげることができることが最大のメリットとなります。
KPIとKGIの違いとは?
評価指標にはKPI以外にも「KGI」という言葉も使われます。何が違うのか知っておきましょう。
KGIとは?
KGIとは「Key Goal Indicator」の略称となっており、日本語では「重要目標達成指標」とも言われます。KPIは業務プロセスのパフォーマンスを評価基準となっておりますが、KGIは企業や事業の目標で、売り上げや利益、課題の達成レベルなど客観的に数値化できる指標を評価基準としています。
例えば、KGIで来月の売り上げを5千万円と設定した場合に、KPIではその目標達成のために新規問い合わせを100件、新規商談件数を50件、新規顧客獲得件数を30件、平均受注単価を100万円とそれぞれの項目ごとに目標として設定するというように使用されます。
KPIとKGIの関係性
「KPI」は目標への達成プロセスである「過程」を管理し、「KGI」では企業や事業全体の目標を管理するための「結果」を設定します。経営戦略論的にはKGIが企業戦略の達成度を評価するための指標で、KPIは到達するまでの各戦略ごとの達成度を評価する指標と考えられています。
売り上げの目標設定として大まかなKGIを設定している企業は多くありますが、実現するための具体的な施術の一環としてKPIも設定するようにしましょう。
KPIを設定して目標を達成する
KPIを設定する際の注意点を知って目標を達成しましょう。
KPIを設定することのメリット
KPIを設定することで目標達成における評価指標が体系化されるようになります。そのため、社員ごとにすべき行動やどの程度成果をあげることで評価されるのかといった「行動指針」を明確にすることが出来ます。
また、行動指針が明確化することで進捗状況の把握や改善点の可視化など、PDCAサイクルの好循環にも繋げることが出来ます。
KPIを設定する目的として「重点的に取り組む課題を明確にすること」が挙げられます。目標を設定するうえで「明確性」や「計量性」、「実現可能性」、「期限設定」の要素が抜け落ちてしまうと、プロセスを可視化しても具体的な行動に落とし込む工程が無駄になります。
そのため、目標を適切に設定することで、そこに行き着くまでのプロセスを可視化するメリットを最大限活かす事が出来ます。
KPIの評価基準を導入することで、従業員の立場から行う業務上の共通の目的や目標が定められます。曖昧だった指標や評価構造を明確化することで達成までに至る過程で生じた課題や問題点を社員全員で共有することが出来ます。
それにより、目標達成に対する社員の意思統一が形成されて、日常業務に対するモチベーション意義が向上することで能力向上の相乗効果を感じることが出来ます。
適切なKPI設定は組織内で共有される評価基準を統一することが出来ます。客観的な数値的指標を設定することで、評価基準の統一のみではなく、事業の進捗度合を定量的に分析することもできます。
設定のコツ
KGIもKPIも現実的なもので実現可能性のある内容に設定することがポイントです。過去の売り上げや成長率など既存データを比較して、改善点を分析したうえで数字を設定しましょう。このとき、出来る限り誰が見ても理解できるような単純化した目標設定にするようにしましょう。
KPIの設定には共通しているものがあります。
・計量性(Measurable)
・現実性(Achievable)
・結果指向または関連性(Result-oriented or Relevant)
・適時性(Time-bound)
頭文字をとって「SMART」と呼ばれています。これらが設定されているか確認しながら進めると良いでしょうか。
KPIの設定手順
KPIの設定手順としてはまず全体の目標をKGIとして設定します。このときのポイントは「目標の明確化」「達成可能な数値に置き換える」の2点となります。目標を設定する際の最終目標にあたるため、あいまいな定義にしないことが注意点になります。
次に目標と現実の差を確認しましょう。目標は現実から乖離しており、通常では達成困難な数値に設定されていることがほとんどです。ここで予測数値を算出してどの程度乖離があるのか把握することが重要になります。
この差に対してどのようなプロセスが必要になるか考えましょう。トップダウンの落とし込みももちろん重要ですが、現場レベルの担当者や従業員などからのボトムアップを行うことで双方で合意形成されたプロセスを構築することが出来ます。
実現できないような目標だと、チームや組織全体のモチベーション低下につながる恐れがあるので、前述したように実現可能性のある無理のないゴールを設定しましょう。
失敗するKPI設定の仕方
KPI設定の際によく陥りがちな注意点も知っておきましょう。
組織内で複数のKPIを設定してしまうことが挙げられます。本来はKPIは目標に対して優先順位を決めて、それにフォーカスしたプロセスや評価基準を体系化することが求められます。
しかし、KPIを絞り込むときに様々な要素を抽出してしまい、すべて盛り込んだKPIを設定してしまうとどの指標を重視するべきかわからなくなってしまい、組織の混乱を招いてしまいます。そのため、KPI本来の目的に即した目標設定を行いましょう。
一番最初にKPIを設定する際に、現実とあまりに乖離したKPI設定を行ってしまうと、遂行する従業員のモチベーション意欲が低下する恐れがあります。特に目標設定が「売り上げ」や「利益」など数字に直結する場合は目標達成のために無理な販売をしたり、顧客の意思思考に沿わない営業活動を行ってしまう恐れもあります。
KPIの本質を見誤ってしまうことで顧客満足度が低下、売り上げ低下に結びついてしまう可能性もあるので注意が必要です。そのため、KPI設定時にはトップダウンだけで設定するのではなく、現場の声も確認しながら進めることが大切です。
WEBマーケティングで用いられるKPI
WEBマーケテイングでもKPIは多く用いられています。いくつか具体例を見てみましょう。
WEBマーケティングにおいて使われる指標
WEBマーケティングの時に使われる指標をいくつかご紹介します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ビジネスで使用する際のKPIについてや適切な設定方法、設定時の注意点をご説明させていただきました。KPIを適切に設定することで、PDCAを回して業務パフォーマンスをあげることが出来ます。KPIの特性を上手に活用して、目標達成や業務効率化を目指していきましょう。
コメント