普段、何気なく接している和食ですが、そのマナー・作法に自身がありますか?改めて和食の作法を見つめ直し、大人の品格を上げてみてはどうでしょう。
また、普段意識していなかった、和食のマナーの本来の意味や理由などを知り、今までとは違った視点で和食と接してみてください。
和室の作法
和流儀によって異なりますが、和室には利用する際の細かい作法があります。
「ふすまは一気に開けない」、「座布団は相手に勧められてから座る」など、
おさえておきたいポイントをお教えします。
席順席には、上座、下座があります。
上座
出入口側の反対側の席で、奥に行くにつれて順位が高くなります。
下座
出入口側の席、奥に行くにつれて順位が高くなります。
ある行事の機会では、上座には主役や主催者が着き、それ以外では年齢や立場に応じた席につきます。通常、主催者が大体の席を案内してくれることが多いです。
ふすまの開閉マナー
ふすまに向かって正座をします。引く方向の反対の手で、半分まで引き、次に引く方の手で、最後まで引きます。
座布団のマナー自分の座る座布団の斜め後方に正座し、会釈をします。次に、座布団の外側に両手を置つき、それを支えにして、体を滑らせるようにして座ります。
NG作法
- 座布団をひっくり返す
- 座布団を踏む
おしぼりのマナー
右手でおしぼりを取り上げ、左手に持ち返します。手を拭き、拭いた部分を内側にしてたたみ、元の位置に戻します。
NG作法
- 顔や口を拭く
- テーブルを拭く
懐紙のマナー
懐紙は食事では以下の用途で使います。懐紙ケースに入れ、和服では胸元、洋服ならポケットに入れておきます。
懐紙の用途
- 口や箸先の汚れを拭く
- 汁気の多いものを食べる時に、受け皿として使用する
箸の作法
箸を置くときは、必ず箸置きの上に置きます。袋に入った割り箸で出される場合は、箸袋の上に置き、食べ終わったら箸袋を斜め半分に折った状態で箸袋に戻すようにします。
箸の取り上げ方
まず、右手で箸を取り上げます。次に左手で箸の下で支え、右手を滑らせて箸の下に移動し、両手で箸の両側1/3あたりを指先で持ちます。最後に左手を外して正しく持ちます。
椀を持った際の箸の取り上げ方
椀を両手で持ち上げ、左手にのせます。次に右手で箸を取り上げ、左手の人差し指と中指の間に挟みます。最後に右手を返して正しく持ち直します。
椀の持ち方
お茶碗は4本の指を揃えて底を持ち、親指はふちに添える程度です。
「会席料理」の食べ方の作法
以下の順序で食べていきます。
前菜
主食の前にいただくのが前菜です。季節感を感じる旬の食材が一般的です。串に刺さっているものは箸で外し、串は皿の奥に置きます。適した大きさにしていただきます。
お吸い物 (秋には代わりに、土瓶蒸しになることがあります)
貝などの場合は、身を外し殻は中に残します。汁をの飲むときは、箸を椀の中に入れて飲みます。具が口に押し寄せるのと、人に箸先を向けるのを防ぐためです。
土瓶蒸し
土瓶蒸しは、松茸やハモなどの具を出汁が入った土瓶で蒸す秋の定番料理です。まずは、土瓶の蓋は開けずに、お猪口に出汁を注ぎ、芳醇な香りを楽しみます。
次に、土瓶の蓋をとり裏返して右脇に置きます。そして土瓶の中に酢橘を軽く絞り、蓋を閉じ5秒ほど蒸らします。そして再度、出汁を味わいます。
この後にようやく具材をいただきます。お猪口に具材を移してから食べても、直接食べても良いです。松茸、ハモの順序でいただきましょう。
具材をいただき、出汁を味わうということをバランスよく行います。好みによって、お猪口に移した具材に、酢橘を絞ったり、再度、土瓶の中に絞ったりして味を堪能します。
食べ終わったら、蓋とお猪口を元通りにします。残った酢橘は蓋とお猪口の間に入れておきます。
お刺身
お刺身は、味が淡泊なものから順にいただきます。お醤油が垂れないように、小皿をもつか、懐紙を使用していただきます。山葵は、醤油に溶かすより少量を刺身に乗っけていただくほうが、本来の香りを楽しむことができます。
焼き魚
頭の方から尾に沿って、上半身→下半身の順で食べます。上面を食べ終わったら、頭を持ち下の身を残しながら頭と背骨を剥がし、皿の上方に置きます。下面の身も、同様の順序でいただきます。
煮物
盛り付けを崩さないように上からに順にいただきます。大きめの器の場合は、膳に置いたまま、懐紙か蓋で煮汁を受けながらいただきます。
揚げ物
薬味を天つゆに入れ、盛り付けを崩さないように手前からいただきます。てんつゆの器をもっていただきます。
蒸し物
茶碗蒸しなどの料理です。器が熱いので置いて食べても構いません。手前から混ぜずにスプーンでいただきます。食べ終わったら、スプーンは元の位置に戻し蓋をします。
酢の物
酢の物は汁気が多いので、器を持っていただきます。具の上に梅肉や酢味噌がのっている場合は、混ぜずにそのままの状態、または適量をつけていただきます。
ごはん、汁物、お漬物
汁物がでてきたらお酒は切り上げます。いただく順番に決まりはありませんが、汁物とごはんを中心にバランスよくいただき、最後お漬物が一切れ残るようにするのが理想です。
デザート
果物がそのまま出されることもあれば、盛り合わせ出てくることもあります。盛り合わせの場合は、さっぱりしたものから、または甘いものから酸っぱいものへ順にいただきます。種がある場合は、口元を手や懐紙で隠し、一箇所に寄せておきます。
抹茶と一緒にだされている場合は、和菓子を先にいただきます。洋風デザートの場合でも器は手に持っていただきます。何品かあるときは交互に食べ進めます。
その他和食の作法
上記以外に、普段、見慣れた料理の食べ方・作法をご紹介します。
そば
ざるにのっている「もり」、温かい汁の中に入っている「かけ」の2種類があります。
もり(ざる)
まず、薬味を適量箸の上に乗せ、そのまま蕎麦を取り上げます。次につゆが入っている器に1/3程つけていただきます。蕎麦の本来の香りを楽しむために、空気を含ませながら啜っていただきます。
最後に、湯呑に蕎麦湯を注ぎ蕎麦湯のみで飲んだり、つゆの入った器に注いで好みの濃さに調整して飲みます。
かけ
かけも同様に啜っていただきます。
うどん
うどんは、蕎麦湯のようにゆで汁はありませんが、食べ方は、基本的に蕎麦と同様です。
和食でのNG作法
和食でのNG作法をご紹介します。
食べ終わった食器を重ねる
特に高級料亭などで使用される食器は高価なため、傷がつくなどの理由からNGです。
手皿
TVの食レポなどででもたまに目にし上品に見えますが、実はマナー違反です。小皿ならもって食べるか、懐紙で受けて口にもっていきます。取り箸が用意されている場合はそれを使い、ない場合は取り分ける相手に確認を取り、自分の箸で取り分けます。
魚を真ん中から食べる
和食は原則、左側からいただきます。
徳利のくびれた部分を持つ
徳利で酒を注ぐ場合は、腹の部分をもちます。
ビールが残った状態で注ぐ
残ったぬるくなったビールと混ざることで味や風味が落ちるので、全部なくなってから注いであげましょう。
大皿から直接食べる
たとえ一口であっても、一旦、小皿に移してからいただきましょう。
おかずから食べる
和食は原則、汁物から食べます。箸を汁につけることで、ごはんにくっつきにくくなることからこのようなマナーになったようです。
ご飯の上に一旦おかずをおく
一口で食べれないものは、皿の上で一口大にしてから口にもっていきます。
串を持って食べる
つくねなどの串物は箸ではずし、一口大にして口にもっていきます。
割り箸を左右に割る
縁起が悪いなどの理由でNGです。上下に割るようにしましょう。
和食の作法を更に細かく
更に細かく、和食の作法・マナーをみていきます。
赤穂紫蘇の味わい方
赤穂紫蘇は、醤油の入った小皿に箸で花の部分をそぎ落とし、刺身と一緒にいただきます。
残った茎は刺身の皿の奥に置きます。
塩のつけ方
天ぷらをいただくときなど、皿に盛られた塩に天ぷらをつけるとつけすぎになるので、箸で塩をひとつまみして、軽くかけていただきます。
醤油のジュレのつけ方
醤油のジュレは、一口ずつ食べる分量のジュレをつけていただきます。
まとめ
和食のマナーをご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。和食は洋食などに比べて奥深く繊細なため、作法・マナーも比較的複雑です。
本来の意味、由来を知りながら、正しい作法で和食をいただくことによって、今までとは違った感覚で和食を楽しんでみてください。
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