「大人の趣味をはじめて、アート作品の価値がわかる人になりたい。でも、どんな作品を鑑賞したら良いのだろう」「仕事の気分転換のため、何か趣味を始めたい。でも運動は苦手…」自分の感性を活かせるような趣味を持ちたい方に、アート作品に親しむことをおすすめします。大人になると仕事中や家庭の中でも、どこかでストレスにさらされながら生活していかなければなりません。
アート作品を見たり実際に作品を作ってみることで、自分の感受性・創造力が豊かになります。最近では若手で活躍するアーティストも増えてきて、初心者が気軽に参加できるアートのワークショップなども開かれています。自分の感性を発揮し、生き生きと生活するためにアートに触れる一歩を踏み出してみましょう。
大人の趣味として、アートを気軽に始めてみよう
アート作品を鑑賞してみたり、自分で作品を作ってみたりしたことはありますか。「アート作品」「芸術作品」と聞くと、少し難しくて敷居が高いイメージがありますが、実はそんなことはありません。頭でっかちに身構えて作品を鑑賞するよりも、気楽に構えて見る方がアート作品を楽しむことが出来ます。
大人でこそアートに通じて感受性を豊かに
日々、日常生活を送っていると、自分自身の感覚や本能的に感じている感覚にどうしても鈍感になってしまいます。最近のアート作品は、絵画だけでなく彫刻やインスタレーション(空間表現⇒展示空間にオブジェなどを配置することで、作品にメッセージ性やストーリー性を生み出す手法)など多様化していてアーティストが表現している世界観を体感しやすくする工夫がされています。こうしたアート作品に触れることで自分自身の感覚を取り戻し、感受性が豊かになるのです。
趣味でアートに触れて創造力を養う
仕事や勉強などで、日々ルーティン作業をこなしていると、考え方が単調になってしまい、新しいことを考える発想力や創造力が鈍化してしまいます。アート作品は、人が潜在的に持っている美的な感性に訴えかけ、人の想像力を開花させる働きがあります。
アート作品作りで心身を解放する
日々ストレス社会を生き抜いている私たちは、自分自身の純粋な心の働きを抑圧しがちです。喜怒哀楽や奔放な感情表現を抑えてしまい、素直に感じている感情を表す子供のような気持ちを表現することが控え目になっています。しかしアート作品に触れることで、心の働きを活性化させ、伸び伸びとした感性や感情を発揮させられます。
大人の風格を、アート作品鑑賞を通じて養う
アート作品を鑑賞することで、知識や教養があることをアピールすることができます。アートに触れることは先人達が営んできた美術の歴史に触れることでもあります。アート作品についての理解が増すと、自然と歴史や、芸術を取り巻く社会の仕組み(美術館の運営や、芸術イベントを行う行政の対応)についても造形が深くなり、教養が身につくのです。
アート作品の鑑賞 美術館に行ってみよう
アート作品に気軽に触れるための第一歩は美術館に足を運ぶことです。初心者やアートに詳しい大人まで、じっくり楽しめる都内のおすすめ美術館3選を紹介します。
東京都庭園美術館 おシャレな空間でアートを満喫
目黒区の洗練された街の中にたたずむ東京都庭園美術館。歴史的な美術作品の展示を行うとともに、定期的に園内を利用した、活躍中のアーティストの展示なども開催されています。くつろげるカフェなどもあり、散歩しながら気軽にアート作品を楽しむには最適の場所です。
森美術館 六本木で最先端アートに触れる
六本木のど真ん中で、流行のアート作品を堪能することができる森美術館。2003年の設立後、日本の美術界を牽引するようなダイナミックな展覧会を企画し続け、業界的にも大きな影響力を持つまでに成長しました。美術館で作品を楽しみながら森ビルの展望台を眺めたり、うっとりした時間を過ごすことができます。
ワタリウム美術館でセンシティブな作品に触れる
国際的なアートなアートシーンにおける日本のポジションを認識したうえで、若手の作家や熟練のアーティストまで幅広く展示を行っているワタリウム美術館。渋谷の神宮前にあり、真っ白な空間での繊細な展示が美術ファンを虜にします。本屋さんが併設されていて、作品や作家について深く知ることができます。
アートで活躍する有名人は?
世界的に評価を得ている日本人アーティストはたくさんいます。それぞれ海外のアーティストにはない作風でオリジナリティ溢れる作品を生み出し続けています。今も活躍中の代表的な3名について取り上げました。
日本のアートと言えばこの人 草間彌生
今や日本を代表する作家といえる草間彌生さん。水玉模様の大きなオブジェや絵画作品などは一度は目にしたことのある方も多いでしょう。ルイヴィトンとバッグデザインのコラボレーションなども行っているため、幅広い世代を魅了し続けています。
急激に注目を浴びた 名和晃平
京都市立芸術大学卒業のアーティスト。ガラスビーズやプリズムシートを使った動物の彫刻作品で一躍有名になりました。業界的には若手でありながら、無機物である素材を有機的な彫刻作品へと昇華する作風が注目を浴びています。
写真に刺繍をして独特な世界観を表現 清川あさみ
清川あさみは写真や書籍に刺繍を施した作品で知られる女性アーティストです。もともとモデルとして、女性雑誌にも登場していましたが、2003年から、刺繍を用いた作品で注目を浴びました。女性らしい繊細さを持ちながら、色鮮やかな動植物を時にダイナミックなイメージへと昇華させます。
上のアーティスト以外にも、例えば美術雑誌の『美術手帖』が運営するアートのポータルサイトなどを利用すれば、オンライン上で自分が好きなアーティストや作品の情報収集に活用できます。
アートが好きな人はどこを楽しんでいるのか?
アートが好きな人は、それぞれの作品やアーティスト本人が持っている魅力にはまり込みます。特に最近、活躍している現代アート作品などは、各作品にオリジナリティやストーリー性が含まれるため、自分が好きな作家や作品を純粋に楽しんでいる方が多いようです。
例えばゴッホやモネなど、歴史的に著名な画家の作品などは同時代の作家との作風の違いや作品の歴史的、美的な価値によって作品が評価されます。また、アートに造詣の深い方はこうした価値観や芸術作品を楽しむ目をしっかり養って作品を深く味わいます。
アートは敷居が高くて、理解しがたい?
このような「アート作品を味わう作法」が現代も脈々と続いているため、アートは時に「ハイカルチャー」に属すると言われ、漫画やゲーム・アニメ作品などのサブカルチャーとは明確に区別されることもあります。
しかし、特に若いアーティストは、こうした区分が今や無意味であることを良く理解していて、アート作品にもアニメ作品などに登場するような愛らしいキャラクターなどを登場させて、鮮烈なイメージを描くとともに、普段アートに関心の無い方にも純粋に作品を楽しむ機会を広く提供しています。
「答えがない」アート鑑賞の面白さ
アートを鑑賞することの最大の面白さは作品に「答えがない」ことでしょう。芸術作品の価値を決める批評家がいることは確かですが、目の前にある美術作品をどのように解釈する方は、作品を見るあなた自身が決めることが出来ます。だからこそ「自分が好きな作品と出会う」ことが重要なのです。
好きなアート作品との出会い・作品背景の理解
自分が好きな作品を1つだけ見つけてみましょう。モネでもダ・ヴィンチでも、葛飾北斎でも草間彌生でも村上隆でもアンディーウォーホールでも、地元のアーティストでも何でも構いません。自分が好きなアート作品を探しましょう。
自分の直感で気になった作品や、テレビで見たことのある作品など、何でも構いません。「何となく可愛くて好きだな…」「この作品気になって、何度も見てしまう….」そう思える作品を見つけましょう。そして、好きな作品が見つかったら、その作品やアーティスト自身について調べてみましょう。
例えば、草間彌生さんの作品や人柄について調べると彼女の幼少期の苦労(持病との葛藤)や作品制作の原動力、また、日本の同時代のアーティストとの運動への参加など日本美術史の一部が垣間見えてきます。1人の作品やアーティストについて理解を深めることで、作品を取り巻く背景や美術史全体が見えてくるのです。
アート作品をもっと身近に体験 都内のおすすめギャラリー 3選
好きなアート作品について理解が進んで「もう少しアートについて知りたいな」「このアーティストについてもっと知りたい」「もっと作品をじっくり見てみたい」という気持ちが芽生えたら、美術館よりもギャラリーに足を運ぶことをおススメします。
ギャラリーの方が、自分と作品との距離が近く鑑賞出来ますし、何よりアーティスト本人と話をするチャンスがあります。展覧会が開かれるときのオープニングパーティ等のイベントに参加すれば、アーティストの話を聞けたり、ギャラリストと話をすることもできます。
何より魅力なのがオープニングパーティは「無料」で参加できることがあるという点です。また、軽めの飲食つきであっても1,000~2,000円前後で参加できるため、美術館に出向いたり、高級レストランで食事するよりもリーズナブルに貴重な体験を味わうことができます。
タカ・イシイギャラリー 有名アート作品を見る
タカ・イシイギャラリーは1994年に開設された、六本木にある写真(グラフィック)を中心にしたギャラリーです。有名な森山大道や奈良原一高、畠山直哉などの作品をじっくり見ることが出来ます。また、定期的に海外のアートフェアーにも出品しているため、フェアー会場で鑑賞や作品の購入なども可能です。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーでデザインの巨匠を知る
公益財団法人が運営しているギンザ・グラフィック・ギャラリー。グラフィックデザインの老舗ギャラリーとして1986年から運営されています。横尾忠則など日本のデザインを発展させた巨匠の企画展や、デザインの講座やワークショップなどが開かれており、デザインについて深く知りたい方から、入門者向けに広く門戸が開かれています。
ケンジタキギャラリーで若手のアートに触れる
東京と名古屋に開設された現代アートを扱うケンジタキギャラリー。海外の有名作家や若手のアーティストまで幅広いコレクションを扱っているギャラリーで、名古屋の地元出身のアーティストの作品などを扱っている点が特徴です。型にはまった絵画や彫刻だけでなく、ギャラリー空間をダイナミックに使った作品なども展示されるため、見ごたえがあります。
大人の趣味に、アートの旅
1990年以降から、日本の各地域で「ビエンナーレ」や「トリエンナーレ」と呼ばれる美術展が多く開かれるようになりました。背景としては、地方の地域活性化にアートを利用するという流れが広まったことや、若手のアーティストの表現が多様化し、美術館の外に表現の場を広く求めるようになり、業界自体にアート作品に近づくための敷居が低くなった点が挙げられます。
それまではアートの旅といえば、遠くの美術館を巡ることが定番でしたが「アート作品を鑑賞する旅」そのものを目的としたアートスポットが登場してきたのです。
アートの旅の魅力
こうしたアート作品鑑賞の旅の魅力は、何と言っても日常を離れて、自分のペースでゆったりとアート作品を眺めることが出来ることです。屋外に広がる巨大なオブジェ、海や山を背景にしたアート作品を堪能することで、自分自身の内面を振り返るきっかけになるでしょう。
国内で巡る大人のアートスポット 3選
海外にも旅を目的として、訪れることができるアートスポットはたくさんあります。しかし、国内にも私たちを非日常の時間へと誘ってくれるスポットはたくさん存在します。
直島 アート鑑賞でリゾート気分
アートのファンなら、誰でも知っている直島。ベネッセホールディングスが運営していて、瀬戸内海の小さな島の中に点在したアート作品を鑑賞することが出来ます。ベネッセハウスには、レストラン・スパやカフェもあり、宿泊も可能です。リゾート地のような環境の中で、海とアート作品と美味しい料理に囲まれて充実した時間を過ごすことが出来ます。また、島には安く宿泊できる民宿もあるため、気軽に旅行するのにうってつけの場所です。
金沢21世紀美術館で最新のアートに触れる
平成24年に設立され、開館10周年を迎えた金沢21世紀美術館。美術館以上に観光スポットとしての役割を充分に果たしていて、県外からの観光客や海外からも多くの人が訪れています。最新のアート作品を洗練された建築空間の中で、鑑賞することができます。また演劇などのパフォーマンス作品の上演があったり、屋外に作品が配置されていたり、施設全体でアート作品を満喫できるように配慮されています。
大地の芸術祭の里 自然の中で過ごすアートな時間
新潟県の十日町市という町で3年に1度、大地の芸術祭が開催されます。町には、緑あふれる山中を背景に様々な作品やプロジェクトが展開され、訪れた観光客を楽しませています。中には予約を取って楽しむ作品や宿泊施設などもあり、この地でしか楽しめない特別な体験を味わえます。参加型で楽しむ作品もあるため、家族で楽しむことも出来ます。また芸術祭の期間以外にも常設作品も展示されているため、いつでも四季折々の風景の中で作品を満喫出来るのです。
またアートファン向けの国内旅行プランがじゃらんなどで、紹介されています。気になるスポットなどがあれば、調べてみると良いでしょう。
アートの旅行といえばヨーロッパ
国内だけでは飽き足らない、本場のアートを楽しみたいと考えるあなたには、やはり海外へアート旅行に踏み出すことをおススメします。特にヨーロッパは芸術を愛する風土やアーティストを支える制度も整っています。
例えばデンマークには「スケーエン」と呼ばれるたくさんのアーティストが住む芸術家の村があります。スケーエンへのツアーもあり、毎年、多くの観光客がこの村を訪れています。日本国内では文化の違いから、このような環境が生まれることは難しいでしょう。そこに住む人との文化の違いや価値観の違いを肌で感じれること、海外でアート作品を鑑賞する意義は、ここにあります。
アートをもっと身近に。趣味で始める作品作り
自分の好きな作品と出会い、アートのことを好きになったら、是非、自分で作品を作ってみましょう。自分で作品を作ると、美術館やギャラリーで展示されている作品の良さが更に理解出来ます。使用されている素材の違いやアーティストの作品制作への向き合い方、考え方、感じ方を肌でくみ取ることが出来るのです。
また「ものづくり」は純粋に人の心を楽しませますし、若々しい気持ちで日々を過ごすことができます。そして作った作品をネット上で公開したり、ギャラリーで展示することによって、普段なかなか出会えない人とのかけがえのない交流が生まれ、生き方を豊かにすることが出来るのです。
100円ショップの道具を使って、気軽にアート作品作りの一歩
よし!自分でアート作品を作ってみよう!と思い立った時、つい高価な道具を揃えて見たくなります。しかし、はじめの第一歩は、100円ショップの道具でも十分です。
- 色鉛筆
- クレヨン
- 絵の具
- 絵筆
- 木材
- 大工道具
など、何でも100円ショップでそろえることが出来ます。ものづくりの感覚が身につく前に、高級な道具ばかり揃えてしまうと「作ること」そのものの楽しみを覚える前に、道具を揃ることばかりに注力してしまいます。まず安価なものでも良いので手を動かして自分の思いを形にする楽しみ、素材の違いを掴む感覚やセンスを養ってから、本格的な道具を揃えてスキルアップを目指すと良いでしょう。
美術教室に行ってみる
「道具を揃えて作品の作り方も何となく掴めてきた。でも、なかなか上達しない…」「一人で上達するには限界がある…」そう考えたら、美術教室に足を運んでみることをおススメします。一緒に学ぶ仲間が出来ますし、人に教えてもらうことでスキルアップを早めることができます。
スギヤマアートルーム
スギヤマアートルームはペン画を中心に教えている、ギャラリー兼、通販ショップで細密画を書いて見たい人おすすめです。初心者も気軽に教えてもらうことができて、昼の部、夜の部など、自分の都合の良い時間帯に参加することが可能です。
金華堂 美術研究所
絵画を中心に、油絵、日本画、水墨画、パステルなど、色々な手法の絵画を学べる金華堂。明治創業の老舗のスクールで、安心して、自分の感性を養うことができます。絵を描くことに苦手意識を持っている人でも、自分の感性を発揮できるのです。
キミコ・プラン・ドゥ
松本キミ子さんの教える「キミ子方式」という手法で、独自の世界観を現す絵画作品制作を教えてるキミコ・プラン・ドゥ。人とは違う作品を作ってみたいという方にはおすすめです。
アート作品を通じて大人の仲間づくり
アート作品を作ることの最大の楽しみは価値観を共有できる仲間ができることです。職人気質を存分に発揮して、自分の世界観を作品として表出することはもちろん大切ですが、作品作りを通じて養った感覚や、知識や価値観を仲間と語り合うことで、自分自身の心に深みが増すことを実感できます。また、そうして築いた人間関係は自分自身の貴重な財産となるでしょう。
遊び感覚で楽しめるアートの参加型ワークショップ
誰かと一緒に作品を作ってみたい、人に教えてもらいながら手を動かしてみたいと思ったら、アートのワークショップに参加してみると良いでしょう。アーティスト本人に手ほどきを受けれる専門的なワークショップから、初心者向けの体験型ワークショップなど、多くの美術館などでたくさんのワークショップが開かれています。
国立新美術館のワークショップイベント
六本木にある国立新美術館は新旧問わず、多く企画展と並行して「教育普及」を目的としたワークショップも開催されています。アーティストと一緒にこいのぼりを作るポップなワークショップをはじめ、専門的な「視覚障害者との美術鑑賞」ワークショップなど、多岐にわたるワークショップから、自分が好きなプログラムを選択することが出来ます。
六本木アートナイトのイベント
六本木アートナイトは1年に一度六本木の街中で、たくさんのアートイベントが開催されるお祭りです。とりわけ注目を浴びているのが、森ビル近辺で夜通し開かれるイベントです。夜通し、朝方まで参加型のダンスイベントなどが開かれ、思い出深い一夜を体験することができます。
QOOCAN ものづくりのワークショップスペース
QOOCANは目黒不動前にある、ワークショップスぺースです。子供から大人まで楽しめるクラフトワークショップやアクセサリー作りのワークショップなど、純粋にもの作りが楽しめるイベントが開かれています。
また、都内のワークショップやイベントなどは東京アートビートなどで、調べることができます。自分の表現力の幅を広げる場を見つけてみましょう。
まとめ
アート作品の鑑賞から、アートを巡る旅や作品作りまで、大人の趣味としてアートを楽しむコツを紹介しました。アート作品に触れる入り口、楽しみ方や作品による表現方法は人それぞれです。自分自身の価値観を広げるために、アートの世界へ足を踏み入れてみましょう。きっと自分自身を深く知り、視野を広めるキッカケになるはずです。
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