社会人の皆さんは席次に関するマナーについてよくご存知かと思いますが、「円卓」に座る場合はどうでしょうか?接待などの場でお店が中華料理店だった、など目上の方達と円卓に座る機会はたくさんあると思います。いざお店に着いて慌てることのないよう、円卓に座る際の上座、下座、席次のルールについて解説します。
上座・下座とは
上座、下座という言葉聞いたことがあると思いますが、まずここからご説明します。上座とは、平たく言うと「身分の高い人が座るところ」です。下座は上座の対義語になります。基本は入り口から最も遠い席が上座となり、入り口に近くなるに連れて下座になります。
上座について
上記でも説明しましたが、上座とは身分の高い人座るところで、目上の方やお客様が座る場所になります。
古来の日本では身分の高い貴族などが座ったり、寝る場所を他より一段高く作っていて、主君や自分より身分の高い人と会うための「上段の間」を設けており、自分より身分の高い人が家を訪れた際にはこの上段の間でもてなしたそうです。基本的に入り口から遠い場所が上座、入り口に近い席が下座となりますが、これは敵が攻めてきたときに身分の高い者が襲われることを防ぐ意味合いもあったようです。
下座について
入り口から遠い場所が下座となりますが、入り口からの距離とは別に、「左上右下」(さじょううげ)という考え方があります。これは中国から伝わってきた考え方で、中国では、皇帝は北極星を背にして南を向いて座るのが良いとされていました。日が昇る東側は、日が沈む西側よりも尊いので、皇帝から見て左側(東)の方が右側(西)より上位という考え方です。この思想から日本では左上位を礼節の基本としています。
円卓での席次マナー
上座、下座の基本についておわかりいただけたと思いますが、では円卓で座る場合にはどこが上座、下座になるのでしょうか。
円卓での上座の位置
円卓は通常8人がけとなっていることが多いです。基本は変わらず、入り口から最も遠い席が上座、入り口に近づくに連れて下座となります。目上の方の手を煩わせないためにドアから遠い一番奥が上座、店員を呼んだり雑用をするためにドア付近の下座に座る、と覚えておきましょう。
左右どちらが上位になるのか
上述の通り、左側が上位という考え方が基本になりますので、最上座に座っている人から見て左側が2番目、右側が3番目、以後左、右の順で進んでいきます。
料理が出る場合の円卓のマナー
中華料理のレストランでは、「上座」の人から順に座るのがマナーです。一番目上の人が着席するまで入り口で待ちましょう。円卓にターンテーブルがついている場合は、まず目上の人から料理を取って、時計回りに回します。
例外に当たるパターン
基本は入り口から遠い席が上座と覚えておけば大抵の場合は対処できると思いますが、例外に当たるパターンもいくつかあります。
例えば、大きな窓に面した部屋だった場合。上座は最も心地よく座れる場所になるので、この場合は景色がよく見える場所が上座、従って窓に面した席が下座になります。また、立派な絵画や調度品が飾ってある場合、正面から見える位置が上座になります。このように基本とは異なる例外パターンも存在するので合わせて覚えておきましょう。
パターン別円卓の上座・下座
会議室やエレベーターでのマナーなどはよく聞くかもしれませんが、実際に円卓を使う際のマナーは他と比べて少ないかもしれません。円卓を使用するシチュエーションにはどのようなものがあるかいくつかご紹介します。
中華料理
中華料理のテーブルと言ったら円卓です。上述の料理のマナーや食器の使い方など、普段の会食などとは異なるところに注意しましょう。
例えば、日本では遠慮は美徳とされるかもしれませんが、中国では遠慮をすることはかえってマナー違反になります。日本では他の人の料理を取り分けたり、その際箸を逆さにして使うなどよく見かけますが、こういった日本ではよく見るマナーが失礼に当たる場合もあるので注意しましょう。また、お茶やお酒は基本的に自分でつぎます。急須にお茶を足してほしいときはフタを急須ずらして置くのが店員へのサインになります。会話を楽しむことを邪魔しないように独自のマナーが存在しているのが特徴です。
結婚式などの場合
結婚式の場合は「右方上位」となり、右側が新郎、左側が新婦と決まっています。円卓が複数設置されると思いますが、新郎新婦のメインテーブルに近い席が上座、入り口に近い席が下座となります。通常上座には主賓や会社の上司、下座には新郎新婦の親族、間には友人や同僚といった席割りになることが多いようです。親族の中でも新郎新婦の両親は最も下座、遠い親戚になるほど上座側になります。両親はお客様を招く側になるので、下座、という考え方です。
パーティーなどステージのある場合
こちらはステージに近い真ん中の席が上座、入り口に近い場所が下座になります。ステージ中央に円卓が2つある場合は最もステージに近く、かつ入り口から遠い側の円卓が最上座になります。
忘年会などの宴会
会社での宴会の席になるので、通常社長が最も上座になります。これは円卓でも普通のテーブル席でも一緒です。順番を判断するときは役職、社歴、年齢の順で上座から順番に座ります。例外として、社外の方が参加する場合はもちろん上座に、幹事がいる場合は下座に座るなど、状況に合わせて判断しましょう。
歓送迎会
この場合は主賓になるのは会社を出る人、会社に入る人なので、転出者、転入者の順で上座に座ります。次いで役職者、社員の順で座ります。 円卓が複数ある場合は転出者、転入者だけで固まらないように気をつけましょう。下座に幹事や年齢の若い人が座って店員との対応をするなど、上座に座る方が気を使わないように席次を考えます。また、各テーブルには役職者とそうでない人が数名ずつ入るようにして、上述の役職、社歴、年齢の順で席次を決め、上座から座ってもらいましょう。
円卓での注意点
円卓でのマナーは特に中華料理店で必要になるかと思いますが、和食や洋食とは違ったルール、マナーがあり、最初は難しく感じるかもしれません。最近では一流店でも比較的気軽に利用できるということで、接待に使われることも増えてきているようです。和食や洋食と比べて中華料理でのマナーを知っている人は少ないようですが、中華料理は楽しく会話を楽しむものなので、あまり難しく考えずに料理と会話を楽しみましょう。
例えば、お互いに遠慮して料理が中々減らない場合や、取り分けにくい料理が出てくる場合はお店に人に頼んで取り分けてもらうのも手です。招いたお客様に楽しんでいただくため、円卓でのマナーをしっかり覚えて積極的に会食などに利用してみましょう。実践する中でどんどん覚えていくはずです。
まとめ
会食の設定や宴会の幹事を任されたときに普段慣れている会場やテーブルではなく、円卓になると焦ってしまうこともあるかもしれません。しかし、基本は通常のテーブルや会場のルールと大きくは変わりません。今回ご紹介した円卓での上座・下座を押さえたうえで、スマートに対応できるビジネスパーソンを目指しましょう。
『エレベーターマナーを覚えてデキるビジネスマンになろう!』の記事ではエレベーターでの上座・下座について紹介しているので合わせてお読みください。
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