今回は新入社員はもちろん、社会人になって数年経過している方も是非再確認してもらいたい「来客の迎え方」です。もしかすると、知らず知らずのうちに失礼な対応をして、相手に不快な思いをさせてしまっているかもしれません。「気が付かなかった」や「知らなかった」、「仕事が忙しくて、出来なかった」は通用しません。自信のない方はこの機会にマスターしてください。ある人は見直しをしてみてください。では、はじめましょう。
お客様を迎えるための事前準備とは
小学生時代、学校の先生が各家庭を訪問する…家庭訪問の時どのようにお迎えしたか思い出してみてください。お母さんは、普段以上に念入りに掃除をし、いつもよりいいお茶とお茶菓子を用意したのではないでしょうか?そして笑顔も・・・会社で来客を迎えるときも全く同じです。
掃除
まず、大前提ですが、きちんと来客人数にあった会議スペースもしくは応接室の予約をし忘れないようにしましょう。来客が続く場合は、タイトな対応にならざるを得ませんがきちんと掃除をし、椅子、ホワイトボードを整えましょう。使用した提案書やパンフレットなど片付け忘れはないでしょうか。飲み終わったコーヒカップなどがそのまま残っていることはあり得ないことです。
服装
今は制服がない会社が増え、クールビズはほとんどの企業で実施されています。会社のドレスコードはバラバラです。基本総務関連の女性が来客の対応をするケースが多いと思います。制服であれば、大きく外すことはないと思いますが、制服がない場合は、会社の看板であることを忘れず、あまり派手過ぎず、ラフ過ぎない格好が望ましいです。
お茶とお茶菓子は必要?なにが喜ばれる?
会社への来客の一番の目的は、ビジネス上の商談をすることがほとんどとなります。大前提として、用談の邪魔にならないこと。ただ、最低限お茶は出さないと印象は良くありません。もし、好みはわかっていれば、温かい?冷たい?日本茶?コーヒー?紅茶?など、お客様の好みに合わせて対応し、出すタイミングで「○○がお好きでしたよね」と一言加えると覚えていてくれた…と喜ばれます。
銀座の飲食店の経営者に聞いた話ですが、料理の好き嫌いはもちろん、好みのお酒、吸うタバコの銘柄、誕生日など記念日まで覚えているそうです。そこまでは無理としても、何度も来訪されたお客様なら飲み物の好みくらいは、覚えておきたいものです。お茶菓子は、出せれば出したほうがベターですが、商談の邪魔にならないように気を付ける必要があります。出す場合には、お茶菓子がお客様の左側、お茶が右側になります。ただし、番茶は出さないほうが無難です。京都では、番茶は内々のもの、お客様には出ないのがマナーとされています。
対応は女性の方がいいのか?
基本は女性が対応するケースが多いと思います。ただ、体調不良でいつも対応してくれいる女性社員が休んでしまったり、別室の対応で手が足りなかったり…あまり、待たせてしまうのは失礼にあたります。逆に男性がきちんと対応し、美味しいお茶をマナーにそって出せたら、非常にいい印象として残ります。
受付にて
何事も第一印象が大事で、そのイメージはずっと残ります。訪問時のファーストコンタクトはとても重要となります。お客様は多くの会社を訪問し、いろいろなところを見ています。来客が自分と無関係だからと言って、気を抜くことのないように気をつけましょう。
アポイントがある場合
まずは、明るく笑顔で「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と言って歓待の意を表しましょう。要件と、誰とアポイントをとっているのか確認し、極力待たせることなく、応接室、会議室にご案内しましょう。
アポイントがない場合
名指し人があって在籍の場合ば、その者にどうするか確認しましょう。くれぐれも自己判断ですすめないようにすること。不在の場合は、担当部署に確認をし、指示を仰ぎましょう。変わって対応できる者、この機会に挨拶をしたい者がいる可能性があります。通常は、不在理由、帰社予定時刻などをお客様へお詫びとともに伝えます。
ワンランクアップの奥の手
- よくあるのが、応接室などへの案内時に、どこに行くのかなど言わず無言で案内すること。お客様は不安になります。「お応接室へご案内します。どうぞ、こちらへ」と一言付け加えるだけで、イメージは大きくアップします。
- 挨拶時に「御社の◯◯(製品名)をいつも愛用しています」などさり気なくアピールするのも有効です。
- 待たせないことが原則ですが、もし、待たせてしまう場合は長時間そのままお客様を放置せず、申し訳ございません。もうしばらくお待ち下さい」など途中で一声かけましょう。
移動にて
一緒に歩くとき、位置やマナーなど意外と盲点で、知らない人が多いです。横に並んで案内したり、ひとりで先にドンドン歩いたりしていませんか?
廊下を歩く時
社内を案内する場合は、お客様に廊下の真ん中を歩いていただき、2、3歩斜め前を歩きながら案内します。歩くスピードはお客様に合わせるようにしましょう。くれぐれもお客様をおいていかないように気をつけましょう。段差などがある場合は、気配りの一言を加えると好感度がアップします。
階段やエスカレーターに乗る時
上りはお客様を先にし、下りは自分が先に立って降ります。お客様を見下ろすことは絶対にないようにしましょう。
エレベーターに乗る時
“来客優先”が原則となります。乗るときは扉を手で押さえ、お客様に先に乗ってもらい、降りるときも、扉を押さえ先に降りていただきます。
応接室での対応
名刺交換の仕方や交換する順番、席順など間違えず出来てますか。
一般的に会議室の上座は議長席が最優先となります。次に入り口よりも遠い議長席の隣の順番にそって上座の順列がきまってきます。その反対側のテーブルが下座側になるということになります。結果、入り口に一番近い席がその会議室での下座となります。
名刺とは
名刺は物質的には小さな紙ですが、重要な意味を持ちます。その人の名前が書いてあるのですから、その人の分身と思い、丁寧に大切に扱いましょう。
名刺交換の仕方
- 「はじめまして、○○会社の○○と申します。よろしくお願いします」とハキハキと名刺を差し出す。その際、笑顔を忘れないようにしましょう。
- 名刺は基本目下から渡します。
- 交換する相手が複数いる場合は、地位の高い人から順番に交換します。
- 名刺を差し出す際は、自身の名刺を相手から見える向きに持ち、相手の胸元あたりに差し出します。
- 受け取る際は、右手で受け取り、すぐにかつ丁寧に左手を添えます。
紹介の順序
相手が「部長」と「課長」こちらが、「係長」「新人」の場合は、どの順番で行うのが正しいでしょうか?
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正解は、身分の高い順番に行います。
つまり、「部長・係長」「部長・新人」「課長・係長」「課長・新人」の順になります。難しいですが、一度覚えてしまえば迷うことなく出来るようになります。
やりがちな名刺交換NG
- 汚れた名刺や端の折れた名刺は使用しないようにしましょう。
- きれいで折れていない名刺を出すのは当然のマナーです。
- 名刺入れからきちんとその場で出して、手渡すようにしましょう。
- ポケットやカバンなどから出さないよう気をつけましょう。
- 応接室などがいくら狭かろうとともテーブル越しに出さず、きちんと相手の目の前に移動して行いましょう。
一歩上いく名刺交換
受け取った名刺は名刺入れにしまわず、テーブルの上の出しておくようにしましょう。その際、一番上席の方の名刺を自分の名刺入れの上に乗せるとスマートです。着席されている席番に受け取った名刺を並べておくことにしましょう。商談中に名前の呼び間違いを防ぎます。もし、名刺を忘れてしまった、切らしてしまった場合は、きちんとお詫びし、後日郵送にて送る約束をし、なるべく当日中に郵送しましょう。
お茶の出し方
味はもちろんですが、それ以上にマナーが見られています。行われているプレゼンのいいアシストが出来るよう、マナーを覚えましょう。
温度
一番の基本は熱いものは熱く、冷たいものは冷たくだすことが基本中の基本となります。
2杯めを出すタイミングは?
面談時間は1時間が多く、中間の30分で出すのが基本となります。ただ、注意しなければならないのは、商談の邪魔にならないように、注意する必要があります。会議が盛り上がっていると会議資料がテーブルに並べられるケースが多くなります。そのときに、お茶を出すと、一旦流れがとまり、お茶を置くスペースを作らなければならなくなってしまいます。そうならないためにも、会議が一段落したタイミングを見計らって、臨機応変に出すようにしましょう。
マスクはしたままでいい?
極力控えたほうがベターとなります。マスクをしたままお客様の前に出るということは大変失礼にあたります。花粉症や風邪などでどうしてもマスクが必要な場合は、事前に接客する社員に報告しておくようにしましょう。その上でお茶をお出しする際に、「すみません。風邪などうつるといけませんので、マスクのまま失礼します」と一言付け加えればほとんどのケースで許してもらえるだけでなく、一目置かれる対応になります。
来客を見送る際のマナー
面談が無事終わり、お見送り。どこまでお送りしたらいいのでしょうか?
応接室の前?エレベーターの前、玄関?自動車?どこまででしょうか?
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通常はエレベーター前までが一般的です。相手との関係性、立場によって車まで見送ることもあります。応接室の前までは、基本的にはNGです。失礼にあたります。
まとめ
一番の基本は、「自分がどう対応してもらったら嬉しいか?心地いいか?」をベースに考えることです。まずはここで紹介した基本をきちんと覚え、守って歓待する、それをマスターした上で、お客様の好みや状況に応じて臨機応変に対応するようにしましょう。これが、人と人、企業と企業の友好な関係を永続的に続けることに繋がります。
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