ヒューマンエラーという言葉があるように、人は誰しもミスをしてしまうことがあります。仕事の出来る人と出来ない人は、ミスが起こった時の対処で分かれると言っても過言ではありません。
例えば、あなたが取引先へメールを送信してから1週間返信がなく、その指摘をした際に
「先日いただきましたメールの返信をすっかり忘れていました。申し訳ございませんでした。」
というメールを送られてきました。このメールを見て、あなたはどう感じましたでしょうか?正直に謝罪をしていますが、お詫びメールとしては悪い例です。「すっかり忘れていました」なんて返事がきたら「また忘れられるかも?」と不安になりますよね。
取引先へのお詫びメールは、今後の関係を損なわないためにも、相手にマイナスな印象を与えない表現が必要です。取引先に迷惑をかけてしまうミスがあった時に、信頼回復につながるお詫びメールの書き方を身につけておきましょう。
どんな時にお詫びメールを送るべき?
お詫びメールを送る場面の大半は、直接謝れない場面で活用されます。ビジネスにおけるメールは堅い表現が多く、逆に冷たい印象を与える可能性がありますので、できれば直接謝罪に伺うべきです。
また、実際にそのような局面になった時「とにかくお詫びの気持ちを伝えなくちゃ」と焦ってしまいがちです。お詫びの気持ちが伝わる行動順序や、どのような行動が好ましいのかをしっかりと押さえておけば冷静に判断できます。
では、まずはお詫びの気持ちを伝えるポイントから身につけていきましょう。
適切な謝罪の順番は?「電話・メール・訪問」
謝罪の方法は「電話」「メール」「訪問」など色々ありますが、最も誠意が伝わるのはやはり「訪問」です。
・・・とはいえ、同じ建物の取引先ならともかく、取引先側の都合もありますので、なかなかすぐには会えません。そこで「電話」や「メール」が必要になります。一番ベターな方法は「まずは電話で謝罪と状況説明の上、訪問で改めて謝罪に伺う」でしょう。
しかし、電話がつながらなかったときは、ミスのあった事実を伝える手段はメールしかありません。謝罪の順番は、優先順位を考えた時に実行の可否によって変わってきます。
ここでいう優先順位は、誠意の伝わりやすさを考えています。
直接訪問の場合は、お詫びの気持ちを「声」だけでなく「体」でも表現できますし、行動が目に見えるところが他と違います。
次に電話です。電話の場合は姿は見えませんが、「声」を通してお詫びの気持ちを伝えることができます。
そしてメールについては、「文章」として事実を伝えることができますが、気持ちを伝えることは非常に難しいです。
これらの特徴を考慮して、実際にどのような順番が正しいのかを状況判断していくことが必要です。
誰が送るべき?「社長 or 上司 or 自分」
お詫びメールは基本的には自身で送るものです。
例えば、普段の担当者以外の人から突然お詫びメールを受け取ったら、まるで誠意を感じられないですよね。ミスの度合い等にもよりますが、お詫びの気持ちを伝えるためにも、まずはご自身で送りましょう。
しかし、例外もあります。「取引先側からクレームがあり、そこでミスが発覚した」というような場面です。
このような場面では、上司や社長の対応が必要になる場合がありますので、社内で状況を正確に伝える必要があります。
お詫びメールのみの謝罪はあり?
メールのみで謝罪を終わらせてしまうことは、基本はNGです。なぜなら、『適切な謝罪の順番は?「電話・メール・訪問」』でも述べましたが、メールは誠意が伝わりにくい謝罪方法だからです。お詫びメールを送るときは、主に下記のような利用シーンが考えられます。
- 至急の「経緯の報告」が必要になるとき
- 電話や訪問での謝罪後のアフターケア
- 訪問も電話もできない場合
メールや必要な書類の誤植程度であれば、お詫びメールのみで問題はないですが、「連絡をとることが怖い」という理由でお詫びメールで済ます、なんてことは避けましょう。
お詫びメールの書き方とマナー
お詫びメールを送る目的はなんでしょうか? それをしっかり押さえておけば、お詫びメールは自然と書くことができます。
- ミスの報告とそれに対する謝罪
- 今後の信頼回復
特にこの2点を意識することで、お詫びメールのポイントを押さえることができます。
では次に、細かい注意点やポイントを紹介します。
件名をつける4つのポイント
いざ「お詫びメールを書こう」と思った時、件名で手が止まってしまうことはよくあることです。通常のビジネスメールでも、件名だけで何についてのメールかをわかるように注意を払います。お詫びメールも同様に、受け取った側が件名で「お詫びメール」だとわかるようにする必要があります。わかりやすく、失礼のない件名に必要なポイントを4つご紹介します。
(例)メールの誤送信についてのお詫び
(例)日時の表記ミスのお詫びと日程変更のご相談
(例)納期遅延のお詫び【株式会社●●】
(例)【重要】●●の設定不備のお詫び
最低限入れておきたい内容
お詫びメールの目的を意識することが、ポイントを押さえるコツと紹介しました。「ミスの報告とそれに対する謝罪」をするために必要なことは「ミスの経緯」を明確にすることです。そこで初めて、何に対しての謝罪なのかがわかります。そして「今後の信頼回復」については、「反省と改善策」を伝えることです。信頼回復に必要なこととして、「二度と同様のミスが起こらない」と取引先が納得できなければなりません。
何よりも大事なことは、ミスの後のリカバリーになります。
- ミスの経緯
- 反省と改善策
この2点は、お詫びメールには最低限入れておきたい内容です。
謝罪の言葉の適切な表現方法
口頭では謝罪の気持ちを伝えることが容易ですが、メール等の文面では日常で使う謝罪の言葉では気持ちが伝わりにくいものです。文面でも気持ちが伝わる、特によく使う表現を紹介します。
- 心より(深く)お詫び申し上げます。
- 誠に申し訳ございませんでした。
- 大変失礼いたしました。
- 陳謝いたします。
- お詫びの申し上げようもございません。
メールの場合は考える時間や適切な表現を調べる時間がありますが、電話や対面ではその場で対応が必要です。このような場合に備えるには、こちらの書籍をおすすめします。
お詫びメールを送った後の対応について
お詫びメールが無事に送信できても、まだ安心はできません。お詫びの後の対応次第で、失った信頼を取り戻せるかどうかが決まります。
お詫びメールに返信がきた後の返事はどうすべき?
取引先からの返信内容にもよりますが、返事があった後の返事も悩むポイントです。このような場合は、相手の気持ちをいかに理解するのかが大事です。
例えば、
- ミスが起きたことに対して納得がいかなかったのか
- ミスが起きた後の会社の対応に納得がいかなかったのか
- ミスが引き金となって自身の対応に納得がいかなかったのか
このように同じミスで、相手の受け取り方は複数あります。しっかり相手の真意を読み取り、相手の気持ちを理解して返事を送りましょう。もし「ミスが起きたことに対して納得がいかなかった」という場合は、次のように「原因・反省・改善策」の内容を整理し、取引先の気持ちの合わせて返信をすると良いです。
「今回のミスに関しては自身の確認不足による人為的なものだった。」
「ご迷惑をおかけしたことを反省し、二度とこのようなミスを起こさないよう社内のチェック体制を強化する。」
「誤入力が発生しないよう発注コードと商品の確認工程を追加し、再発防止を徹底する。」
シーン別お詫びメールの例文3選
シーン別のお詫びメールの文例を3つ紹介します。
返信遅れのお詫びの例文
【件名】RE:広告掲載のお問い合わせ
株式会社◯◯
◯◯部 ◯◯様
平素より大変お世話になっております。
◯◯株式会社の◯◯です。
今回お問い合わせいただきました広告掲載のお問い合わせの件ですが
ご返信が遅くなりまして、誠に申し訳ございませんでした。
多忙につき、返信が遅れてしまいました。申し訳ございません。
ご発注書を添付ファイルにて送付いたしますので、ご確認をお願いいたします。
ご返信が遅れましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
クレームがあった際のお詫びの例文
【件名】弊社社員の不手際へのお詫び
株式会社◯◯
◯◯部 ◯◯ 様
いつもお世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯でございます。
先日は2度にわたり、弊社◯◯が大変失礼な言動があったとのこと
心よりお詫び申し上げます。
すべて私どもの監督不行き届きであり
お詫びの申し上げようもございません。
今後はこのような不手際のないよう
社員のマナー向上に努めてまいります。
後日、改めてお詫びに伺いたいと存じますが、
取り急ぎお詫びを申し上げます。
納期遅延のお詫びの例文
【件名】納期遅延のご報告とお詫び
株式会社◯◯
◯◯部 ◯◯ 様
平素より大変お世話になっております。
◯◯株式会社の◯◯です。
◯月◯日にご注文いただきました商品の件でご連絡いたしました。
こちらの納期の予定日を◯月◯日とお伝えしておりましたが
商品の一部に欠陥が見つかりましたため、納期が◯月◯日となる予定です。
お伝えしておりました納期に間に合わせることができず
大変申し訳ございません。
現在は既に新しいものを作成が終わっており
梱包から検品までを至急取り掛かっております。
今後は、二度とこうした事態を起こさぬよう
万全の体制で取り組んで参る所存です。
今後とも、変わらぬお引き立ての程
よろしくお願い申し上げます。
メールにて恐縮ですが、取り急ぎお詫び申し上げます。
まとめ
取引先へのお詫びメールは、電話や直接謝罪をすることが難しいときや、状況を取り急ぎ伝えるときの手段です。謝罪にはスピードと、今後の信頼回復のための反省や改善ポイントを的確に伝える必要があります。
何よりも第一に考えなくてはいけないことは、お詫びの気持ちを相手に伝えることは勿論、しっかりミスを認めて、そのミスに対して誠意を持って対処する姿勢を伝えることです。
ミスのシーンによって対応の仕方は変わりますが、ミスに対する姿勢を伝えることは変わりません。
お詫びメールは誰もが送る機会がありますので、万が一の時に冷静に対応できるよう身につけておきましょう。
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